令和元年 6月定例県議会 発言内容(池田清議員)
◆池田清
改革・創造みらい、長野市・上水内郡選挙区選出の池田清です。通告に基づき質問をいたします。理事者の明快で前向きな答弁を求めます。
初めに、学校に行かない、または行けない児童生徒への支援についてお伺いいたします。教育長にお伺いいたします。
学校に行かない、または行けない児童生徒への支援は、本県義務教育における最重要課題の一つです。全国平均を上回り、高どまりしていると言われる学校に行かない、または行けない児童生徒の小学校、中学校における現状の在籍率についてお伺いいたします。
あわせて、市町村教育委員会の支援体制はどうなっているのかについてお伺いいたします。また、長野県不登校対策検討委員会等ではどのような議論がされているのか、お伺いいたします。
2017年2月に教育機会確保法が施行され、2年が経過しました。当初の法案には、不登校の子供たちの居場所となるフリースクールや自宅での学習など、学校以外での学習も義務教育として認められることが盛り込まれていましたが、国会での審議で削られました。学校に行かないことを安易に認めるべきではないとか学校に行かないことを助長するという意見もあります。一方で、休んでもよい、学校以外の場の重要性を認めたことは画期的です。子供も保護者も休むことを認めることで、自分を否定しなくてもよくなり、自己肯定感につながります。また、休むことを認める以上、居場所としてのフリースクールなどとの連携も重要になります。これまでの学校復帰を前提とし1人でも多くの児童生徒を登校させようとしていた取り組みについては見直しが必要と考えます。教育機会確保法を本県教育行政にどのように具現化していかれるのか、伺います。
フリースクール等民間団体との連携について県民文化部長にお伺いいたします。
教育機会確保法は、学校以外の居場所として、フリースクール等との連携、支援を求めています。フリースクールは設置基準がないため、運営主体や活動はさまざまです。
不登校等支援活動団体を紹介します。長野市のブルースカイ、正式名称は登校拒否を考える親と子の会でありますが、子供や親の居場所として1990年5月に発足しました。不登校、ひきこもりに悩む子供たちや若者の居場所として、現在は長野市障害者福祉センターで活動しています。
昨年7月、永年の活動が評価され、公益財団法人社会貢献支援財団から社会貢献者表彰を受賞しました。まだ登校拒否について社会的に関心があまり高くない1990年、我が子の現状と将来に不安でいっぱいのお母さん5人でスタートし、30年近くの長きにわたって困難な状況でも黙々と努力してこられた功績、先駆性、独自性、模範性などを備えた活動が評価されたもので、関係者の喜びはひとしおであったと推察します。心から敬意を表し、お祝いを申し上げます。
ブルースカイなどフリースクール等民間団体の現状についてどのように把握されているのか県民文化部長にお伺いいたします。また、県とフリースクール等民間団体との連携を進めるべきと考えますが、見解をお伺いします。
◎教育長(原山隆一)
まず、不登校児童生徒在籍率の現状でございます。
年間30日以上の欠席がある不登校児童生徒の在籍率は、平成29年度、小学校で0.64%、中学校で3.19%であり、増加傾向が続いているところでございます。
次に、市町村教育委員会の支援体制ですが、多くの市町村が教育支援センターを設置しておりますが、その中には、一人一人の実情に応じて職員による訪問指導を実施しているところもございます。また、教育委員会と学校担当者による不登校対策委員会を定期的に開催し、現状の分析に基づいた取り組み計画を作成している例や、福祉部局と連携し、生活困窮世帯等のひきこもりや不登校等の子供に対して学習支援協力員が家庭訪問による学習・生活支援を実施している市町村もございます。
次に、県における議論でございますが、市町村教育委員会の代表者及び市町村行政関係者、学校関係者、学識経験者等をメンバーとして協議を行っております。例えば、平成29年度は、教育機会確保法の成立を受け、国の基本方針を勘案した上で、本県における現状と課題を踏まえた不登校未然防止及び不登校児童生徒への支援のための行動指針を協議の上で策定したところでございます。
平成30年度は、新たにフリースクール代表者にも加わってもらい、協議をいたしました。その中で、フリースクール代表者からは、時間割や規則にとらわれない自由な遊びの中で個に応じた学びに取り組む子供の姿の紹介や、学校との連携についての発言では、相談が学校のほうから来ることもある。保護者から相談があれば、学校に一緒に伺うこともあるといった発言があったところであります。
これを受けて、学校や市町村教育委員会の代表者からは、フリースクールの発表を聞き、子供たちの学びについて学校教育に取り入れられる部分もたくさんあると感じたという感想もあったところであります。多様な学びや相互の連携の重要性について認識を深めたところでございます。
次に、不登校対策の見直しと具現化についてであります。
法の理念を実現するためには、まず、学校において児童生徒の社会的自立に向けた学びを実現するとともに、学校が唯一の学ぶ場として学校復帰のみを前提とする考え方や、不登校を問題行動と捉える認識の転換が必要だというふうに考えております。
一方で、児童生徒の実情に応じた多様な学びの場という点では、まだまだ選択肢は不足している現状だと思います。そのため、8月3日に開催する政策対話では、「学校へ行くことが難しい子どもたちへの学びの支援について」をテーマに議論をする予定です。また、7月から、市町村教育委員会と県教育委員会との懇談会を県内4ブロックで開催し、この中でも議論をする予定となっております。
今後、これらの議論を踏まえ、学校における学びのあり方や多様な学びの場の設置、学校とフリースクール等民間団体との連携など知事部局とともに検討してまいりたいというふうに考えております。
◎県民文化部長(増田隆志)
私の方からは2点御質問にお答えいたします。
フリースクール等の民間団体の現状についてでございますけれども、県と県教育委員会が現段階で把握しておりますフリースクール等民間団体は53カ所でございます。これらの団体では、子供とのかかわりを大切にしながら生活や活動を支援されていると承知しております。一人一人の実態に応じて活動内容を設定され、中には、在籍校と連携して、学校からプリントを送ってもらって、それをもとに教科学習をしているところや、社会性を身につけるために自分たちで計画を立てて遠足をしているところもあると聞いております。
今年度、県民文化部の職員がこれらの民間団体のうち7カ所を訪問して直接お話を伺っております。そこでは、団体の方から、学校や市町村教育委員会とさらに連携、協力をしていきたい、安定した運営を継続していくことが難しいといった希望や課題が示されたところでございます。
フリースクール等民間団体と県との連携についてでございますが、フリースクール等の民間団体は、不登校の子供たちの多様な学びの場や自立の場を確保する上で大変重要な役割を果たしていると認識しており、県と民間団体との連携をこれまで以上に進めていきたいと考えております。
これまでは、県内のフリースクール等民間団体の代表である「不登校を考える県民の会」との懇談会、あるいは同会が主催されます学習会や「不登校を考える県民の集い」の周知への協力と県職員も参加しての意見交換を行ってまいりました。
今後は、先ほど教育長からも答弁がございましたが、8月3日に開催する「学校へ行くことが難しい子どもたちへの学びの支援について」をテーマとした政策対話を初めとして、教育委員会とともにフリースクール等民間団体の方々から意見を伺いながら対話、連携を深め、学校へ行くことが難しい子供たちへの支援を進めてまいります。
以上です。
◆池田清
教育委員会、知事部局、それぞれの行政の垣根を越えながら、横断的な横串を差しての支援が大変重要だということがわかると思います。これからぜひとも一歩前進をして、進めていっていただきたいと思います。
次に、母子生活支援施設について2点、県民文化部長にお伺いいたします。
1点目です。母子生活支援施設は1932年(昭和7年)に施行された救護法に母子寮として位置づけられましたが、1998年(平成10年)に改正された児童福祉法で、母子生活支援施設に改称し、母子の保護から「保護するとともに、生活を支援する」という変化した役割を担うこととなりました。母子が一緒に生活しつつ、ともに支援を受けることができる唯一の児童福祉施設という特性を生かし、保護と自立支援機能充実が求められる施設なのですが、近年はDV被害に対応する避難シェルターとしての役割が大半を占めているとのことです。
また、施設の老朽化、トイレ、風呂の共用など、利用者のニーズに合っていないこともあり、入所世帯が減少し、施設運営は厳しいと伺います。
一方で、子供の貧困、生活困窮など、母子家庭を取り巻く生活環境が悪化する中で、母子家庭は増加傾向にあり、母子生活支援施設のニーズは拡大していると考えますが、こうした状況を踏まえ、県内にある3施設の現状と課題についてお伺いいたします。
2点目、県の支援についてお伺いいたします。
老朽化している施設の改修、施設利用者のみならず、母子世帯の生活相談を行う専門性を高めるための職員研修、また、利用者が本県のみならず広域にわたることなどから、設置市だけに任せるのではなく、県の財政支援を含め、積極的に支援すべきと考えます。県民文化部長の見解をお伺いいたします。
◎県民文化部長(増田隆志)
2点御質問を頂戴いたしました。
1点目の母子生活支援施設の現状と課題についてでございますが、県内に現在設置されております3施設は、長野市の施設が昭和52年、上田市の施設が同54年、松本市の施設が平成元年の建設で、いずれも建設から30年から40年たっているところでございます。いずれの施設も、経年劣化による老朽化が進んでいるほか、トイレ、風呂が共用であることや、食堂やリビング等が共用施設となっており、そこではプライバシーが確保できない構造となっていると承知しております。また、利用者数は減少傾向にありますが、そうしたことが入所希望者のニーズに合っていないことが要因と考えられるというふうに聞いております。
母子生活支援施設につきましては、議員御指摘のように、従来からの役割である児童福祉法に基づいた経済的に困窮している母子世帯の保護、生活自立支援のほか、広域的にDV被害者を保護する役割、父親が行う虐待ケース等において母と子を一緒に保護する役割など多様化した役割が求められております。このため、これらの役割を担う施設をどのように維持しニーズに応えていくかが課題であると認識しております。
次に、母子生活支援施設の体制整備に係る財政支援についてでございます。
3施設の改修につきましては、設置主体であるそれぞれの市がまずは御検討されることと承知しております。支援策としては、国庫補助制度もございますが、設置主体や改修等の方法により支援できる内容が異なっておりますので、今後、設置市から具体的な相談があった際には、県として支援が可能かどうかも含め、市の考えを十分にお聞きしながら一緒に検討してまいりたいと考えております。
また、専門性の向上については、これまでも、これらの施設の職員に県が主催する研修に参加いただいておりますが、引き続き研修機会の充実等により支援に努めてまいります。
以上です。
◆池田清
3施設は、公設公営、公設民営というような運営形態をしておりますので、民設民営のようにさまざまな補助金を得ることがなかなかできない環境もあります。ぜひとも県としてもしっかり支援をしていただきたいというふうに思います。そういった面では、部長にも一度現場を見ていただきたいというように思いますので、お忙しいとは思いますが、お時間をいただければと思います。
さて、次に3点目の質問です。丹波島橋の渋滞解消についてお伺いいたします。
朝夕の通勤時間帯における国道117号線、丹波島橋の渋滞は、長野市南部地域住民のみならず、隣接する千曲市民、そして高速道路を利用し、長野インターチェンジでおり、長野市街地に向かう他県の観光客、運送事業者の皆さんなどにとっても大きな問題です。
20年前に市議会議員に初当選し、初めての本会議で、地元議員として渋滞緩和について質問しました。20年近く経過しましたが、渋滞は緩和するどころか、さらに深刻化しています。
市南部の五つの地域には約13万人が暮らしています。昨年、長野市南部地区交通渋滞対策協議会が結成されました。そして、運動を展開しています。県都長野市の中心市街地に向かう南の玄関口とも言える丹波島橋の渋滞解消は待ったなしで取り組まなければならない課題と考えます。
長野県を初め、長野市、千曲市など5市3町で構成する長野都市圏総合都市交通計画協議会において計画が策定されました。丹波島渋滞対策の検討結果はどうなっているのか。また、計画実現に向けて、新橋の建設を含め、長野市と連携しながら地元住民の要望に応えるべきと考えますが、いかがでしょうか。建設部長にお伺いいたします。
ソフト面の対策も重要です。橋を渡る自家用車の大半は運転する人のみの一人乗りです。パークアンドバスライド、BRTの導入など長野市が進めようとしているマイカーから公共交通への乗りかえを促進する取り組みに対し県の支援についてお伺いいたします。
また、バス利用者の利便性向上のため本年4月から長野、松本エリアで運用が始まったバスロケーションシステムの利用者の評価について、企画振興部長にお伺いいたします。
◎建設部長(長谷川朋弘)
丹波島橋の渋滞対策についてのお尋ねでございます。
丹波島橋の渋滞は、犀川より南側から長野駅及びその周辺の長野市中心部に至る通勤交通が朝の短時間に集中し、かつ、そのルートが限定的であることが要因であると認識しております。
この渋滞の解消の方策としては、丹波島橋及び前後の現道を拡幅し、車線数を増やす方法も考えられますが、現道の拡幅には沿道建築物の移転など莫大な費用と長い年月が必要となってしまいます。このため、本年3月に改定しました長野都市圏総合都市交通計画では、丹波島橋前後の交差点を含めた一連の区間の交通容量の拡大のほか、犀川部新橋など他路線への交通量の転換、パークアンドライドの実施、バスの所要時間等の情報提供、バス専用レーンの有効活用など、ハード、ソフト両面でさまざまな対策を検討することとしております。
こうした対策を総合的、効果的に検討、実行していくためには、関係機関の連携が不可欠と考えており、長野市、県、県警察本部が参画する丹波島橋渋滞解消に関する研究会を近々立ち上げ、対策の具体化に取り組んでまいります。
以上です。
◎企画振興部長(伊藤一紀)
長野市の公共交通利用促進に関する取り組みに対しての県の支援などについての御質問です。
御紹介いただきました長野市の取り組みは、県も参加しております長野市公共交通活性化再生協議会において議論されたものでございまして、この協議会と長野市が主体となって今年度から実施されるものと承知しております。協議会メンバーでもある県としましては、この取り組みを通じまして、自家用車から公共交通への転換が円滑に進みますよう、観光交通案内アプリ「信州ナビ」にパークアンドライド情報を掲載するほか、アプリのプッシュ機能という通知機能を使ってPRするなど情報発信の面で支援していく考えでございます。
また、長野と松本エリアで始まりましたバスロケーションシステムの利用者の評価という御質問です。これは、走行中のバスの現在位置を確認できるシステムですけれども、この機能を「信州ナビ」に追加したところ、この2カ月間でアプリのダウンロード数が3万9,000件から4万9,000件と1万件増加しております。また、実際に利用された方から便利だという声も多くいただいていることから一定の評価をいただいているものと認識しております。一方で、操作がわかりにくい、時間帯によっては通信が遅いといった御不満もお聞きしておりますので、こうした声も踏まえまして、利用者にとってより使いやすいシステムとなりますよう改善に努めてまいります。
以上です。
◆池田清
丹波島橋の渋滞解消に向けて研究会を立ち上げるという御答弁をいただきました。これは、具体的に、時期等も含めて関係者には案内を行っているのでしょうか。具体的な時期も含めまして建設部長にお尋ねします。
◎建設部長(長谷川朋弘)
長野市、県警察本部が参画する丹波島橋渋滞解消に関する研究会の立ち上げ時期についての御質問でございますが、具体的な日にちはまだ決まっておりませんが、近々立ち上げさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
◆池田清
近々ということで、大変心強く思っております。そんなに遠くない中、長野市選出の議員の皆さんともしっかり連携しながら取り組むべき大変大きな課題であるというふうに思いますので、よろしくお願いします。
また、バスロケを含めて県の方で支援いただいておりますこのシステムですが、さまざまな課題もありますし、また、より利便性を高めるために、さらには使い勝手がいいようにこれからも改修を進めていただいて、バスが来ないイライラ感、とりわけ寒い中で風が吹きつけるようなバス停でお待ちいただいている皆さん方のイライラ感をしっかり解消するために、バスへの誘導をしていただくロケーションシステム等のシステムを変更し、アップしていただきますようよろしくお願いいたします。
以上をもちまして私の質問を終わります。